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【難削材加工動画】耐熱合金を削りました③ 内径加工

その他

動画

2024年07月02日

今回は耐熱合金についてのお話です。
前回はニッケル合金のALLOY600(インコネル600相当)の外径加工、穴あけについての説明をしましたが、今回は内径加工をしてみました。

前回の記事をまだ読んでいない方は、こちらから
【難削材加工動画】耐熱合金を削りました① 外径加工 
【難削材加工動画】耐熱合金を削りました② 穴あけ加工
 
動画や写真も用意していますので是非ご覧ください!

耐熱合金の内径加工のポイントと注意点

①まず、周速40m/min、送り1mm/rev、切込み0.5mm(片肉)で削ってみました。

写真のようにつながった切粉になりました。切粉どうしで絡まったり、工具に巻き付いたりしてしまい、上手く加工できませんでした。

 

②次にインサートのすくい角を大きくしたもので同じ条件で加工しました。

細かいカール状の切粉になっています。すくい角を大きくすると、切れ味が向上し、境界摩耗の抑制につながります。
しかし、他の鉄やアルミ等はここまでカールすれば切れてもおかしくないのですが、切ることができずに繋がっています。耐熱合金のような、硬くて粘り気のある材質の加工の難しさが良く分かります。

 

③最後にステップ5mm、オイルスルークーラントを使用して加工をしてみました。

この時の動画がこちらです。

 

先程までのように全く切れないということは無く、切粉を切りつつ奥まで加工することができました。
連続して削り続けるのではなくステップの動きを加えたことで②のようなカール状ではなくなってしまいましたが、切粉が繋がらなくなるという点では効果があったように思えます。
 
オイルスルークーラントによる効果ですが、高圧ではなく比較的弱めのポンプを使用しています。クーラントの勢いで切断の効果があったかは微妙ですが、冷却によって良い効果があったと思います。
冷却することで加工硬化の促進や刃先への溶着を抑える効果があり、加工がしやすくなると共に工具寿命増加にも繋がります。高圧にすることでより効果は高まるでしょう。
 
また、今回は標準のチャック、治具を使用したため奥まで加工した際に切粉が詰まってしまっていました。
そのため、加工序盤では切粉がワークの外へ上手く排出されていましたが、動画上の最後で工具に切粉が絡まっていました。治具側でも切粉が出ていきやすい形状にする等工夫が必要でしょう。

まとめ

1)問題点

耐熱合金は加工硬化が生じやすい、熱伝導率が低いといった特徴から硬くて粘り気の強い切粉が発生します。そのため、安定した切粉処理を得ることが困難です。
 
また、下記のようなことで工具寿命が不安定になる傾向があります。

・境界摩耗、バリが発生する
・切れ刃への溶着
・ノーズ部の摩滅損傷 等
 

2)対策

安定した切削、工具寿命の確保のため、以下のような対策を行うことが効果的です。

・すくい角の大きい工具を使用する
・高温下で高い強度、耐酸化性に優れた切削工具材質を選択する。
・規則的な切粉処理を得るため適正な切込み量を確保する。
・ステップの動作を加える
・切削油で冷却する
・切粉の排出を考慮した治具の使用(貫通穴の場合)

 

材質によって、上記の対策での効果の大小は異なりますので、対象ワークに適した対策を見つけて調整していくことが重要になります。

 

以上、今回は耐熱合金の内径加工についてのお話でした。

この記事の内容や他の材質についてもお困りのことがあればお気軽にご相談ください。

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