自主勉コラムも11回目になりました。
今回は【ベット】について解説したいと思います。
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自主勉コラム
2023年10月17日
【ベッド】は工作機械の土台となるもので、主軸や刃物台を支える役割を担います。
ここでは【ベッド】にどのような役割や種類があるか、みてみましょう
【ベッド】は加工時の振動が伝わらないように、十分な【強度】や【剛性】が求められます。
【剛性】とは変形のしにくさです。
【ベッド】は切削油タンク、チップコンベア、主軸のモーターなどを内蔵させるため、一般的には中空構造になっていますが、【強度】を必要とされる部分にはリブで補強をしています。リブは肉厚にすると機械が重くなるので、必要最小限の厚さで補強をしています。
また【ベッド】の材料には一般的には【鋳鉄】が多く採用されています。【鋳鉄】は【減衰性】が高く、機械の振動を吸収します。
【ベッド】には下記に示す【スラントベッド】と【フラットベッド】があります。
それぞれの特徴を見てみましょう。
①【スラントベッド】
案内面を傾斜させた【ベッド】です。
【スラントベッド】は案内面が傾斜していることで、切粉の排出性が良くなっています。切粉の熱の影響で、【ベッド】が熱膨張を起こし、加工精度が悪くなる場合があるため、切粉は速やかに機外に排出することが求められています。
また案内面にはサドルに組付けた刃物台が乗りますが、案内面を傾斜させることで作業者の刃物台への接近性が良いことも特徴の1つです。
②【フラットベッド】
一方、上記の【スラントベッド】に対して案内面が水平の【ベッド】です。
案内面が水平になっているため、安定性があります。
TAKISAWAのTCN,TCCシリーズは【フラットベッド】を採用していますが傾斜したサドルを採用することで、X軸(ワークの径方向)の案内面を傾斜させ上記の【スラントベッド】の特徴を再現しています。
【ベッド】は下図のように、敷板とジャッキボルトを介して、床から浮かせて設置します。
これは【ベッド】をベタ置きした場合、床の平面度によって【ベッド】の支持点が変化し、組立調整時の精度が維持できず、案内面の精度が悪化するためです。簡単に言うと床の起伏にベッドが倣ってしまい機械の精度が狂い、その結果よい精度で製品が削れなくなります。
いいかがでしょうか?
【ベッド】は機械の土台となるものであり、加工精度にも直接影響を与える部品です。
機械完成時に外観からは目立ちにくい部品ですが、縁の下の力持ちの様にTAKISAWAのノウハウが詰まった重要な部品です。