複合加工機(ターニングセンタ)TM-2000Y2/3000Y2で、難削材であるステンレス鋼(SUS304)を削ってみました。
まずは、ステンレス鋼加工のポイントを紹介します!
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2023年01月24日
複合加工機(ターニングセンタ)TM-2000Y2/3000Y2で、難削材であるステンレス鋼(SUS304)を削ってみました。
まずは、ステンレス鋼加工のポイントを紹介します!
一般にステンレス鋼は難削材と言われ、鉄やアルミ合金と比べ切削加工の難易度が高い素材になります。
ステンレス鋼の特徴として、
1-1. 熱伝導率が低い
熱伝導率が低く、熱が逃げにくい性質を持っています。加工中に発生する熱が工具刃先に集中する為、工具寿命が著しく低下し、チップが欠けるなどの問題があります。
1-2. 加工硬化しやすい
加工硬化とは、金属に力を加えて塑性変形した時、硬くなる現象のことを言います。
ステンレスは加工硬化しやすい為、加工時に工具の消耗が激しく破損しやすくなってしまいます。
1-3. 切粉が工具に付着しやすい
ステンレスは切粉が工具に付着しやすい性質を持っています。切粉が付いた状態で加工を続けると、工具の破損や加工精度の低下に繋がってしまいます。
上記のような理由から難削材と呼ばれています。
それでは、先ほど挙げた難点についてどのように対策すれば良いでしょうか?
2-1. 耐熱性、耐摩耗性に優れた工具を選定する
ステンレス鋼用として熱や摩耗に強くなるようにコーティングされた材質と専用ブレーカにより、
切りくず処理の最適化を図るなど
被削材にあった工具を選定することで加工の安定、工具の長寿命へ繋がります。
2-2. ステンレスの種類を理解し、適切な切削条件で加工する
ステンレス鋼の中でもオーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系等に分類されており、それぞれの特徴(硬さなど)に合わせて選定する工具や切削条件を決めなくてはいけません。加工対象の材料はどんなステンレスなのか理解することも重要です。
製品の要求精度にもよりますが、切削加工しやすい快削ステンレス鋼を材料として選定してみても良いかもしれません。
2-3. 刃先に切削油を多くかける
刃先に切削油をかけて冷却することで工具や材料の熱を下げることや、摩擦を軽減することで工具寿命の延長に繋がります。
また、切削油をかけることで刃先に切粉が付着しにくくする効果もあります。
加工時に発生する切粉等によっては切削油ポンプを高圧にすることやオイルコントローラーを使って温度調整をするなどの対応も効果的です。
TM-2000Y2とTM-3000Y2でステンレス材(SUS304)のバルブを加工しました!
S45Cなどの中炭素鋼と比べると、ステンレス鋼の加工では、切削速度を低く設定するので加工時間が掛かってしまいます。そこで、動画内にもあるような上下刃物台を利用した同時加工やバランスカットを使って、加工時間の短縮を図ってみてはいかがでしょうか?また、回転工具やY軸、対向2主軸を使った工程集約も可能です。
それでは、実際の加工動画をご覧ください。
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